タイマッサージの歴史とプミポン前国王の深い関係


昨年10月、70年という世界最長の在位を務めた王様、プミポン前国王が崩御されました。

亡くなったあと、どれだけ国民を想い、想われ、タイ王国のために生きた方だったかを思い知らされた気がします。

その中でプミポン前国王とタイマッサージに深い関係があることを知ったので、まとめてみました。

王様の功績と趣味のはなし

博学であった王様。地方の生活・農業用水不足を知ると、海外研究を参考に自ら技術を開発。その技術でなんと特許を取得しています。

王様が特許って!

また今やタイを代表するブランドとなった「ロイヤルプロジェクト」商品は王様自ら開発計画を立案し、王室によってはじめられた農業支援プロジェクトで誕生した商品。

今では品質の高い野菜や果物、加工食品など、多岐にわたる商品が販売されています。

(「ロイヤルプロジェクト」のロゴマーク)

趣味においては、テニス、ヨット、バドミントン、射撃などスポーツ好きだった王様。中でもヨットでは東南アジア競技大会で金メダルをとったこともあるそう!(2位の人の気持ちも分かる)

他にも絵画、写真機、アマチュア無線、サックス、さらに作曲もされる多趣味なお方。

多趣味なだけでなく、どれも超本格的なところがすごい。

タイマッサージの歴史

そんなプミポン前国王、実はタイマッサージとも深い関わりがあります。その前にまずはタイマッサージの歴史から。

タイマッサージはタイ伝統医学の中の一つの治療法で、その歴史はもとをたどると2,500年前まで遡ります。

ですがタイ王国ができたのは実はまだ800年前。タイマッサージの歴史は700年前からというのが正しいのかも (確認できているタイマッサージに関する最初の記録はスコータイ王朝時のもの)。

タイ伝統医学の基礎の部分は、当時の仏教医学、アーユルヴェーダ医学(ヒンドゥー教)の影響を強く受けています。

またクメール王国(アンコールワットで有名)からスコータイ王朝、アユタヤ王朝と支配する国や王朝が変わる中で、周辺地域の宗教や文化が混ざり合い、現在のタイ伝統医学が確立されてきました。

アユタヤ王朝時代には、当時のフランス外交官が「タイ人は病気になっても何もせず、ただマッサージをするだけである」と述べているように、タイマッサージによる治療が広く普及していたよう。


(1月中旬にアユタヤへ行ったときの写真。プミポン元国王に敬意を表し、上記期間は遺跡への入場料が無料となっていました。)

しかし西洋医学の台頭により、次第にタイ伝統医学は衰退。

さらに1923年、ラマ6世により専門知識がない者が医療に従事してはならないと医学勅令がだされたことで、多くの伝統医がその職を放棄。

ラマ8世のときには治療効果が定かではないという理由で、タイマッサージはタイ伝統医学から外されてしまいます。

プミポン前国王とタイマッサージ

このように一度衰退してしまったタイマッサージですが、プミポン前国王によって大きな変化がもたらされます。

現在あるワットポーのタイマッサージ学校は、1955年にワットポー伝統医学学校が設立された当時はまだ存在していませんでした。

しかし1961年、当時34歳だったプミポン前国王が医学学校を見学した際、「学んだことを実践しなさい」と述べ、その翌年にワットポー内にマッサージ学校が設立されました。(現在はワットポー近隣にあります)

ワットポーはタイマッサージの総本山と呼ばれ、数多くのマッサージ師が学んできた場所。また世界各地からも学びに訪れる、言わばタイマッサージの聖地

昔はワット=寺院があらゆる疾患の治療の場だったこと、またラマ3世時代に薬草や治療法など様々な学術をワットポーの壁や柱に残したことから寺院内に学校ができたとか。

この場所を作ったのがプミポン前国王!

つまりタイを現在のマッサージ大国にしたのはプミポン前国王のおかげと言っても過言ではない。やっぱりすごかった、プミポン国王。

ただ、実際に近年のタイマッサージ産業が広く普及したのは1993年、タイ伝統医学復興プロジェクトが進行したことからのようです。

医療行為としてのタイ古式マッサージは今なお残っていますが、現在は観光産業やリラクゼーション産業として私たちの生活の身近にあり、タイを支える存在となってます。


(街の至る所に設置されている祭壇。写真左の文字はタイ文字で数字の「9」。プミポン前国王=ラマ9世を表しています。花博物館ではお花で作られていました。)

こぼれ話

喪が明ける最後の100日目、私の住んでいるアパートのスタッフさんたちが、弔問記帳のためワットプラケオへ出かけていきました。

11:30にアパートを出たのですが、記帳を終えたのはなんと23:30!待つこと丸12時間!帰ってきたのは日が変わった00:30だったそう。ひぇー。

それでも行けてよかった、素晴らしかったと笑顔で話すスタッフさんたちを見て、タイらしさと王様の偉大さを改めて感じました。


※追記
11月に行われたプミポン前国王の火葬式場に、アパートのスタッフさんたちに連れて行ってもらいました!めちゃくちゃ豪華でした…▽


昨年12月にはワチラロンコン皇太子が新国王として即位、タイ王国の新しい時代が始まりました。

タイのよりよい発展を心から願います!

参考資料&URL:
ー ワットポーマッサージスクール  ハーバルボールの作り方  教材
ー 「タイマッサージバイブル  ワットポースタイル」日本タイマッサージ協会 大槻一博
ー Changmai Classic Art Thai Massage School 無料オープン講座【タイマッサージの歴史】


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